VEED は動画生成の道具というより、ブラウザで動く編集ツールに生成の機能を足していったサービスだ。2018年にロンドンで週末のプロジェクトとして始まり、2022年に Sequoia の出資を受けて大きくなった。出発点が編集なので、自動字幕、翻訳、吹き替え、画面録画といった「手元の動画を仕上げる」機能が土台にあり、その上に文章からの動画生成やアバター、画像生成が乗っている。
使う場面は、短い動画を数多く出す人のところにある。撮った素材に字幕を付けて、要らない間を詰め、別の言語に吹き替えて、縦横の比率を変えて出す。素材がないときは、台本を書いてアバターに話させる。この一連が一つの画面で終わるのが売りで、インストールするソフトはない。スマホの Android と iOS にもアプリがあるが、iOS の Lite 版は通常版と契約もプロジェクトも別で、片方を有料にしても他方は開かない。
無料枠の性格ははっきりしている。書き出しは720pまでで、すべての動画に透かしが入る。アップロードは1ファイル1GBまで。AI の音声は月10分、画像は月100枚、動画は月20本、キャラクター動画は月12秒までクレジットで試せる。期限はなく、無料のまま使い続けられる。ただし透かしは後から有料にしても消えない。同じ動画から透かしを外すには、元のプロジェクトを開いて書き出し直す必要がある。
有料は3段で、Creator が1080p、Pro と Studio が4Kまで書き出せる。編集に入れる人数は Studio まで3人、Studio で5人。人を足すと、その人ぶん同じ会費が追加で掛かる。年払いにすると月あたりは半額近くまで下がるが、更新を止めるには更新日の2営業日前までに解約が要る。返金は、一度も使っていない状態で14日以内に限られ、アップロードや字幕の追加も「使った」に入る。字幕と翻訳の分数は月をまたいで持ち越せない。
日本語については、字幕と翻訳が100を超える言語に対応するとあるだけで、画面の言語に日本語があるか、日本円で払えるかは公開ページから確認できなかった。ここは触って確かめる項目として残す。もう一つ、投稿した動画について VEED に取り消せない利用許諾を与える条項が規約にある。仕事の素材を上げる人は、この一文を読んでから決めたい。
仕上げの道具らしい細かさもある。書き出しの fps は元の動画より高くできず、60fps を超える素材には制限が掛かる。有料でも1プロジェクトの合計は5GB 以内が推奨とある。Mac 限定で、指示を出すと編集を代行する OpenEdit という別の編集画面も用意されているが、対応は Apple Silicon の最新 OS に限られる。どれも触って初めて意味が分かる項目なので、ここでは名前だけ挙げておく。字幕の精度、日本語の吹き替えの自然さ、生成した動画の粗さ。読者がいちばん知りたいこの3点は、公式ページには書かれていないし、書かれていても信用できない種類のものだ。測っていないものを測ったように書かないために、この紹介では空欄のまま残す。
向いているのは、動画を作る工程の大半が「仕上げ」の人だ。ゼロから映像を生成したいだけなら、生成に特化した道具のほうが素直だろう。まず無料で、手元の動画に自動字幕を付けて書き出してみる。透かし付きでも、字幕の精度と作業の速さは分かる。無料には期限がなく、AI の機能も月ごとの枠で試せるので、急がずに確かめられる。そこで感じたことが、この紹介と食い違っていたら、その差分こそが次に書く本文になる。



