動画を作る仕事では、映像より先に声で止まることがある。台本はあるのに、読む人を決め、録音し、素材を探し、字幕を合わせるところまで進まない。Fliki はその間をまとめて埋める道具である。文章やアイデアを渡すと、音声、映像素材、字幕を組み合わせた動画へ運ぶ。撮影設備を揃えるのではなく、ブラウザの中で説明動画を組み立てる発想だ。
運営は米国デラウェア州の Nine Thirty Five LLC. である。入口には text to video、text to speech、idea to video、PPT to video が並び、AI アバター、翻訳、吹き替えまで同じ編集環境に置かれている。Veo 3.1、Kling 3 Pro、Seedance 2、PixVerse V5 など複数の動画モデルと、画像モデルも選択肢に入る。完全な Web ベースで、利用には Google Chrome が勧められている。専用アプリの有無は確認できなかった。
使う場面は、記事を短い解説動画へ直すとき、スライドをナレーション付きにするとき、同じ内容を別言語へ届けるときである。台本を場面に分け、声を選び、ストック映像や生成クリップを割り当て、字幕を載せる流れを一つの場所で進められる。日本語は対応言語と音声に含まれ、翻訳や字幕にも使える。ただし日本語の画面と、日本語音声の読み間違いや抑揚は未実測であり、自然さは確認できなかった。
強みは、素材がない状態から書き出しまでの部品がひと通り揃うことだ。映像をゼロから生成するだけでなく、手元の PPT、ブログ、録音も起点にできる。生成後に文や声、間を直せる一方、その変更では音声が再生成され、クレジットをもう一度消費することがある。完成間際の細かな直しほど残量に影響しうるため、台本を先に固めてから声を合わせる順が合う。
無料枠は月3クレジットで、動画は1本1分、720p、最大50場面、透かし付きである。音声は80以上の言語にわたる300種類が対象になる。アップロード素材またはストック映像に AI 音声を付ける目安は1分あたり0.5クレジットだが、モデルや設定で変わる。有料は利用者単位の月額制で、Standard は年2,160クレジット、Premium は年7,200クレジットを掲げる。年払いは25%割引とされるが、年額の実数は取得できなかった。追加メンバーにも契約が必要で、クレジットはまとめて共有する形である。
無料枠は短い試作には使えるものの、月3クレジットでは何案も比較する余裕は小さい。さらに共同編集はまだ対応していないという FAQ と、メンバー追加の料金説明が同居している。役割分担や同時編集がどこまでできるかは確認できなかった。日本語ページはなく、日本語 UI と日本円決済も確認できない。利用者はコンテンツの権利を保持するが、運営・改善・宣伝・製品開発のための利用許諾を与える条項もあるため、社外秘の素材は規約を読んでから扱いたい。
書き出しの上限も用途を分ける。Standard は1本15分、1080p、最大100場面、Premium は1本40分、1080p、最大150場面である。無料から同じ企画を育てるなら、1分の試作で声と構成を決め、有料へ移って長尺を組む順になる。無料で作った企画をそのまま引き継げるか、透かしを外して再書き出しできるかは今回確認できなかった。
向いているのは、顔出しや収録なしで、研修、商品説明、SNS 用の短い動画を継続して作る人だ。一本の映像表現を細部まで作り込む人や、複数人で同じ編集面を往復したいチームには、専用編集ソフトのほうが合う可能性がある。まず1分以内の日本語台本を用意し、無料枠で声、字幕、素材のつながりを一度確かめる。品質や書き出し速度を評価するのは、その実物を見てからである。



