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Tripo

3D モデルを一つ作るのに、かつては何時間もかかった。形を起こし、面を整え、テクスチャを貼り、骨組みを入れる。その工程を、一枚の絵と数分に置き換えようとしているのが Tripo だ。開発しているのは北京の VAST という会社で、2026年には累計四億ドル規模の調達を経てユニコーンの仲間入りをしたと報じられている。この分野の熱量を示す数字でもある。

使い方は2通り。文章で「木の椅子」と指示するか、手元の画像を渡すか。画像の場合、正面の一枚だけでも立体が起きるし、複数の角度から撮ったものを渡せば精度が上がる。数分待つと、回転させて確認できる立体が出来上がっている。この「待っていたら形になっている」感覚は、モデリングを手でやったことがある人ほど衝撃が大きい。

出力の設計が実務的なのが特徴だ。**用途に応じて2種類のメッシュを選べる**。見た目の精度を優先する高精細モデルは最大200万ポリゴンまで扱え、ゲームで使う軽量なモデルは五百から2万五千ポリゴンの四角形メッシュで出せる。後者は手作業で作るモデルに近い構造なので、そのまま制作の流れに乗せやすい。テクスチャは最大8K の PBR に対応している。

もう一つ効くのが骨組みの自動生成だ。人型のモデルなら、動かすための骨を自動で入れてくれる。既存のアニメーションを流し込むこともできるので、作った直後から動かして確認できる。書き出せる形式は GLB、FBX、OBJ、STL、USDZ など主要なものを網羅していて、ゲームエンジンにも AR にも3D プリントにも持っていける。

手放しでは勧めにくい理由が二つある。一つは**無料枠が非商用に限られる**ことだ。月200クレジット(十三体ほど)を使えるが、仕事に使うには有料プランが要る。同時に処理できるのも一件までなので、量産の検証には向かない。もう一つは品質の限界で、機械的な形状は得意な一方、**有機的な形 — 人体や動物、布のような柔らかいもの — は手作業のモデルにまだ及ばない**。「見栄えのいいプレビュー」と「本番に投入できるアセット」の間には、まだ差がある。

料金は月20ドルの Pro から。年払いなら240ドルで、3,000クレジットが月ごとに付く。商用利用が解禁されるのもこのプランからだ。3D の外注が一体あたり数万円することを思えば、月20ドルで何十体も試せるのは相当に安い。

向いているのは、3D を必要としているが専門ではない人だ。ゲームの試作で仮のモデルが欲しい、AR の検証で何か置きたい、企画を説明するために立体が要る。こうした場面で、完成品の質より速度が価値になる。逆に、最終品質が問われる制作物なら、これを下地にして手で仕上げる使い方になる。

始め方としては、手元にある商品写真か、自分で描いた絵を一枚渡してみるのが早い。返ってきた立体を回してみれば、自分の用途に届くかどうかは一目で判断できる。

3D の敷居が下がったことの意味は、モデラーの仕事が減ることではなく、これまで3D を諦めていた人が使えるようになったことにある。試作の段階でとりあえず立体にしてみる、という選択肢が生まれたのは大きい。

指示の出し方にもコツがある。「椅子」とだけ書くより、素材・形状・時代感を添えたほうが狙いに近づく。画像から起こす場合は、背景が単純で被写体全体が写っているものほど精度が上がる。斜めから撮った一枚より、正面と側面の二枚のほうが結果は安定する。

書き出し形式には制約があることも覚えておきたい。骨組みを入れたモデルは OBJ や STL では出せず、3D プリント向けの STL はテクスチャを保持しない。使う先を決めてから形式を選ぶと、作り直しの手間が減る。

  • 文章からも画像からも3Dモデルを作れる
  • 用途に応じて高精細と軽量メッシュを選べる
  • 骨組みの自動生成でそのまま動かせる
  • GLB・FBX・OBJなど主要な形式で書き出せる
  • 無料でも月13体ほど作って試せる
  • 無料枠は非商用に限られ仕事には使えない
  • 有機的な形はまだ手作業のモデルに及ばない

関連: AI 3Dモデル生成