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Speechify

画面を見られない時間にも、文章は消化できる。Speechify はこの単純な利点を、個人の読み上げと制作者向けの音声制作という二つの製品に広げたサービスである。記事や PDF を耳で読む Reader と、ナレーション、吹き替え、声の変換を作る Studio が並ぶ。名前は同じでも契約は別なので、自分が「聴く側」なのか「声を作る側」なのかを最初に分けて考える必要がある。

Speechify Inc. は2017年に Cliff Weitzman と Tyler Weitzman が設立した米国企業である。Reader にはテキスト読み上げ、AI 要約とチャット、AI Podcast、音声アシスタントがあり、Google Drive、Dropbox、Microsoft OneDrive から文書を持ち込める。Web、Chrome と Edge の拡張機能、Windows と Mac、iOS と Android に入口がある。Studio 側には Voiceover、Dubbing、Voice Changer、Voice Cloning があり、制作物の用途に合わせて機能を選ぶ。

Reader が合う場面は、長い資料を移動中に聴く、読む速さを上げる、画面を見続けずに校正する、といった日常である。Studio は解説動画のナレーションを作る、一本の動画を別言語に吹き替える、声色を変える場面に向く。日本語の製品ページと料金ページがあり、日本語は Studio の音声対応言語にも含まれる。ただし、日本語の固有名詞や数字の読み、感情表現の自然さは触っておらず確認できなかった。

強みは、入力場所を選ばない Reader の広さと、Studio の制作機能を同じブランドで持つことだ。Reader は無料で1.5倍速まで、有料では5倍速まで選べる。Studio では1,000を超える音声を扱い、共通クレジットを Voiceover、Dubbing、Avatar などに振り分ける。消費は Voiceover が1秒1クレジット、Dubbing が1秒3クレジット、Avatar が1秒30クレジットである。同じ600クレジットでも、読み上げなら10分、吹き替えなら約3分20秒、Avatar なら20秒という違いになる。

無料の Reader は機械的な音声10種類と読み上げ機能に絞られる。無料の Studio は600クレジットを持ち、Voiceover、Dubbing、Voice Changer を試せるが、Voice Cloning と商用利用権はなく、外へ共有する MP3 のダウンロードにも有料契約が要る。新しい音声を生成するたびにクレジットを消費し、ピッチ、速度、感情表現の変更でも再消費する。一方、音量だけの変更や、何も変えない再書き出しでは消費しない。試作時は文面と演技を先に決めるほうが残量を読みやすい。

課金は Reader の月額契約と、Studio の年額契約が別々に存在する。Studio Starter は年86,400クレジット、Creator は年345,600クレジットを含む。Reader の年払い価格と Studio の月払い価格は取得できず、同時に使う場合の一体契約も確認できなかった。日本語の料金画面でも通貨は米ドル表示で、日本円請求ではない。無料枠で商用利用や MP3 持ち出しまで確かめられない点は、制作目的の人にとって大きな境目になる。

日本語の案内が揃う一方、Reader と Studio の違いは初見では見落としやすい。作った出力は利用者に帰属するとされるが、Studio のプライバシー通知では画像、音声、動画の記録を収集対象に含める。機密文書の読み上げや本人の声の複製では、保存と利用条件を確認してから入力したい。処理速度、声の品質、吹き替えの同期精度は測れなかった。

向いているのは、読む量を耳へ逃がしたい人と、短いナレーションを自分で量産したい人である。単に文書を聴きたいなら Reader、配布する音声を作りたいなら Studio から始める。まず無料で同じ日本語文を数種類の声に読ませ、固有名詞、間、アクセントを確認する。その結果を見て、持ち出しや商用利用が必要なら契約を選ぶのが順当だ。

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