BGM探しは、曲を作るより短く済むとは限らない。雰囲気は合うが長さが違う、使いたい場所では許諾が足りない、見つけた曲を別の人も使っている。Mubert は音楽を曲名から探す代わりに、用途、雰囲気、ジャンル、BPM、長さから生成する。映像や配信の後ろに置く音を、素材棚ではなくその場で用意するサービスである。
Mubert Inc. は米国デラウェア州に所在し、サイトの表記は2016年から続く。制作者向けの Mubert Render、アプリやサービスへ音を組み込む API、音楽家が素材を提供する Studio、聴取側の Play に分かれる。Render には Text to Music、Image to Music、Quick Remix、Track Editor があり、言葉や画像を起点にした生成と、出来た曲の一部を組み替える工程を持つ。
使う場面は、YouTube 動画、Podcast、広告、ゲーム、配信に長さの合う背景音を置くときだ。テキストだけでなく画像から雰囲気を渡せ、Mood、Genre、BPM でも絞れる。Quick Remix は Drums、Bass、Lead、FX、Track Editor は素材があれば Vocals も扱う。ただし個別 stem と MIDI は書き出せない。生成音の展開、つながり、指示への一致、同じ条件での変化は触っておらず測れなかった。
強みは、Render で一本を作る用途と、API で連続的に音を出す用途が分かれていることだ。API にはリアルタイム streaming、WebRTC、personalization があり、Restream、Picsart、Canva との連携例もある。Render の有料プランは1曲最大25分で、WAV と MP3、無制限ダウンロードに対応する。Quick Remix や Track Editor で作り直した版も、それぞれ月の生成1回として数える。
無料の Ambassador は月25回生成、1日30分、月5回ダウンロード、MP3、固定の曲長、Staff Picks 1,000曲までである。個人の非商用プロジェクトだけに使え、Mubert Render へのリンクと #mubert の表示が要る。プレビューの透かしはダウンロード時に外れる。有料 Render は Creator と Pro が月500回、Business が月1,000回を含み、ダウンロードは無制限になる。API の入口は月100回生成と100分 streaming、その上が5,000回と5,000分、さらに30,000回と30,000分である。
無料枠は生成を試す量はあるが、収益化、広告出稿、商用案件には使えない。日本語ページは API など一部にあり、サイトに Japanese の言語選択もある。しかし Render の全画面が日本語になる範囲、日本語プロンプトの解釈、日本円請求は確認できなかった。音そのものに会話言語は要らない場合も多いが、指示の通りやすさは未実測である。
課金は Render と API が別で、いずれも月額制である。Render は月払いと年払いがあり、年払いは月換算が下がる。支払いは返金不可が原則で、FAQ には誤ったプランから上位へ替える場合に以前の支払いを返すことがある、という例外だけがある。曲の著作権は Mubert が持ち、利用者はプランに応じた許諾を得る。曲単体の再販売、音楽配信サービスへの公開、素材ライブラリへの登録、Content ID への登録はできない。解約後は既存公開物を残せるが、新しい企画には使えない。
向いているのは、完成曲を自分名義で配信する人ではなく、動画やアプリを支える音を必要な長さで作る人だ。無料で作った音を収益化したい人にも合わない。まず Ambassador で短い動画一本ぶんを生成し、表示義務、ダウンロード形式、編集の余地を確かめる。音の品質や日本語指示の結果は、その試作を聴いてから判断したい。